日本は経済大国であり、技術や文化において世界に大きな影響力を持っている。しかし、英語力に関しては、他の先進国と比べて大きく遅れを取っている。EF EPI(EF English Proficiency Index)によると、日本の英語力は世界で53位(2022年時点)と、アジアの中でもシンガポールやフィリピン、マレーシアなどに大きく水をあけられている。なぜ日本人は英語が苦手なのか?その理由を探り、改善策を考えてみたい。

1. 日本の英語教育の問題点

日本の英語教育の問題点は以下のとおりです。

1.1 文法偏重の教育

日本の英語教育は、長年にわたって文法や読解に重点が置かれてきた。学校の授業では、英文法のルールを暗記し、長文読解の問題を解くことが中心となっている。これにより、学生は英語の構造を理解することはできるが、実際に英語を話す機会がほとんどないため、会話力が育たない。

1.2 スピーキングとリスニングの軽視

日本の英語教育では、スピーキングとリスニングが軽視されている。特に、大学入試ではリスニングが導入されているものの、スピーキングテストはほとんど行われていない。そのため、学生は英語を話すことに対する自信や経験が不足しており、実際に英語を使う場面で苦労する。

1.3 ネイティブスピーカーとの接触機会の少なさ

日本の学校では、ネイティブスピーカーとの接触機会が限られている。ALT(Assistant Language Teacher)が配置されている学校もあるが、その数は十分ではなく、またALTが授業の中心となることは少ない。そのため、学生は生の英語に触れる機会が少なく、発音やイントネーションを学ぶことが難しい。

2. 社会環境の問題

社会環境の問題も英語がひどい原因といえます。

2.1 英語を使う機会の少なさ

日本では、日常生活で英語を使う機会がほとんどない。多くの日本人は、英語を話す必要がない環境で生活しており、英語を使う機会が限られている。そのため、英語を学ぶモチベーションが低く、学習が継続しにくい。

2.2 英語に対する苦手意識

日本人の多くは、英語に対して強い苦手意識を持っている。これは、学校での英語教育が難解で、テストの点数が低いことが原因の一つと考えられる。また、英語を話すことに対する恥ずかしさや、間違えることへの恐怖心も大きい。

2.3 英語が必要とされる場面の限定性

日本では、英語が必要とされる場面が限られている。特に、地方では英語を使う機会がほとんどなく、英語ができることが特別なスキルと見なされることが多い。そのため、多くの日本人にとって英語は「必要ないもの」と認識されがちである。

3. 文化や言語の違い

文化や言語の違いも英語がうまく話せない理由の1つです。

3.1 日本語と英語の言語的な違い

日本語と英語は、言語的に大きく異なる。日本語は主語が省略されることが多く、文脈に依存する言語であるのに対し、英語は主語を明確にし、論理的に話を進める言語である。また、日本語はSOV(主語-目的語-動詞)型の言語であるのに対し、英語はSVO(主語-動詞-目的語)型の言語である。このような言語的な違いが、日本人が英語を習得する上での大きな障壁となっている。

3.2 文化の違い

日本と英語圏の文化には大きな違いがある。例えば、日本では謙遜や遠慮が美徳とされるが、英語圏では自己主張が重視される。このような文化の違いが、英語を話す際のコミュニケーションスタイルに影響を与え、日本人が英語を話す際に消極的になってしまう原因となっている。

4. 改善策

改善策として、以下の方法があります。

4.1 英語教育の改革

日本の英語教育を改革するためには、スピーキングとリスニングに重点を置いたカリキュラムを導入する必要がある。例えば、小学校からネイティブスピーカーとの会話授業を取り入れ、学生が早い段階から英語に慣れる環境を作ることが重要である。また、大学入試にもスピーキングテストを導入し、学生が英語を話すことに対する意識を高めることが必要だ。

4.2 英語を使う機会の増加

日本社会全体で英語を使う機会を増やすことが重要である。例えば、企業内での英語公用語化や、観光地での多言語対応の強化などが考えられる。また、オンライン英会話や語学留学を促進し、個人が英語を学ぶ機会を増やすことも有効である。

4.3 英語に対する意識の変化

日本人の英語に対する意識を変えることも重要である。英語を話すことに対する恥ずかしさや恐怖心を払拭し、間違えることを恐れずに英語を使う環境を作ることが必要だ。そのためには、学校や職場で英語を使う機会を増やし、英語が身近な存在となるような取り組みが求められる。

5. 成功事例

成功事例として、以下の方法があげられます。

5.1 フィリピンの英語教育

フィリピンは、英語が公用語の一つであり、国民の多くが流暢に英語を話す。フィリピンの英語教育は、小学校から英語を必修科目としており、授業は英語で行われることが多い。また、フィリピン人は英語を話すことに対する抵抗感が少なく、日常生活で英語を使う機会が多いことが、英語力の高さにつながっている。

5.2 シンガポールのバイリンガル政策

シンガポールは、多民族国家であり、英語が公用語の一つとして広く使われている。シンガポール政府は、バイリンガル政策を推進し、国民が英語と母語を両方使いこなすことを奨励している。学校教育では、英語が主要な教授言語として使われており、学生は早い段階から英語に触れる機会が多い。

まとめ

日本人が英語を苦手とする理由は、教育制度や社会環境、文化や言語の違いなど、多岐にわたる。しかし、これらの問題を解決するためには、英語教育の改革や英語を使う機会の増加、英語に対する意識の変化が必要である。フィリピンやシンガポールの成功事例を参考にし、日本も英語力を向上させるための取り組みを進めることが重要だ。

英語は、グローバル社会において不可欠なスキルである。日本人が英語を習得することで、世界とのコミュニケーションがよりスムーズになり、ビジネスや文化の面で新たな可能性が広がるだろう。今こそ、日本の英語教育と社会環境を見直し、英語力を向上させるための具体的な行動を起こす時である。